一般歯科・予防歯科

一般歯科・予防歯科について

痛みがまだ出ていないむし歯の治療や、その延長線上にある痛みをともなう歯の根の治療、歯ぐきの腫れや出血等に対する歯周病の治療などを行います。むし歯の範囲によっては患歯を1回の治療で治せる場合もありますが、成人以降であるならば基本的には歯茎に炎症を伴う歯周病の治療が必要です。
1〜2ヶ月に1度、口腔内のメンテナンスを行い問題箇所は早期発見と早期治療を行い重篤化させない事がなにより重要です。

むし歯治療

むし歯の原因

むし歯菌(例えばミュータンス菌)と呼ばれる「細菌」は、口腔内で糖分を餌にして、酸を生成します。生成された酸は歯を侵食し、徐々にエナメル質に穴が空いてしまうのです。むし歯ができるまでの時間は、どれだけ糖分が口内に滞留したかに関係します。また患者様の元々の歯質にも依存します。
つまり、むし歯が形成される過程は、口腔内の細菌の存在、歯の質、食事の内容、そして時間の経過の4つの要素が絡み合っているのです。むし歯を根本的に防ぐためには、これらの4つの要素をコントロールする必要があります。

むし歯の進行と治療法

  1. C0脱灰

    COは歯に穴はあいておらず、表層が溶け始めたむし歯の初期状態です。「脱灰」とも呼ばれています。
    丁寧なブラッシングとクリーニングを継続して経過観察を行います。

  2. C1エナメル質のむし歯

    エナメル質にのみ細菌感染が認められる状態です。
    細菌に感染した部分だけを精密に削り取って、詰め物で歯の機能を回復する治療を行います。

  3. C2象牙質のむし歯

    象牙質にまで細菌が感染している状態です。歯に黒い筋が見られ、熱いものや冷たいものに触れると沁みるようになります。
    むし歯部分を削り取り、詰め物もしくは被せ物を用いた治療を行います。

  4. C3神経に達したむし歯

    神経や血管が通っている歯髄にまでむし歯が進行している状態です。歯の表面にはっきりと穴ができているほか、激しい痛みが伴います。
    根管治療を行うため、歯を大きく削る必要があります。その後、被せ物をして歯の機能を回復させていきます。

  5. C4末期のむし歯

    むし歯の進行が進み、根っこだけになっている状態です。激しい痛みや歯肉から膿が出ているため口臭が発生するなどの特徴があります。
    この状態になると、ほとんどのケースで抜歯をしなければいけません。その後、患者様の状況に合わせて部分入れ歯やブリッジ、インプラントのいずれかをご提案します。

根管治療について

むし歯菌が歯髄まで浸透すると、激痛や腫れなどの症状が現れます。このような状況を放置すると、歯や骨が溶けてしまうので根管治療で対応する必要があります。根管治療は、歯内に浸入した細菌を徹底的に取り除き、痛みや腫れを緩和するための治療方法です。一般的にはむし歯が歯髄に到達するC3とC4の段階の歯に対して施されます。

根管内の治療を複数回経験されている患歯には、根の先に慢性化した病巣があり、付近の顎骨を溶かしている可能性が考えられます。そういった歯に対して痛みが現れている時には隣の歯に波及させないうちに病巣の除去を行う必要があります。病巣の大きさや深さにより、根の先のみを切り取る方法や、歯を分割して病巣があるところを取り除く方法等があります。

歯周病治療

歯周病の原因

歯周病は細菌による慢性の炎症性疾患です。日本人が歯を失う最も多い原因です。
初期段階では自覚症状がほとんどありません。歯ぐきの腫れや出血など、何かしらの症状に気づいたときには重症化しているケースがほとんどです。治療を怠ると抜歯のリスクが高まったり、自然に歯が抜け落ちたりすることもあります。
少しでも違和感を覚えたら歯科医院で治療を受けるようにしましょう。

歯周病の進行と治療法

  1. 第一段階歯肉炎

    歯ぐきに炎症が起きて、赤く腫れている状態です。歯と歯ぐきの間の「歯周ポケット」が3mm以内。
    ご自宅での丁寧なブラッシングを続けて、歯科医院で歯垢や歯石を取り除くことが大切です。

  2. 第二段階軽度歯周炎

    歯を磨いていると出血することがあります。歯周ポケットの深さは3mm以上~5mm以内です。
    歯周ポケットのなかに歯垢や歯石がたまりやすくなるので、除去する必要があります。

  3. 第三段階中等度歯周炎

    歯周ポケットが 5mm以上~7mm以内の状態です。
    歯槽骨にまで影響が及んでいるため、歯を押すと動揺が見られます。膿が溜まることもあり、口臭も強くなるのが特徴です。歯周ポケットの奥深くまで専用の機材でクリーニングし、状況次第では歯周外科手術をご提案することもあります。

  4. 第四段階重度歯周炎

    歯周ポケットは7mm以上です。
    歯根が露出してきて、食べ物をかむことがほとんどできません。歯を押すと激しく動くようになり、最悪の場合歯が抜けることも考えられます。歯周組織を再生する治療法もご提案できますが、難しい場合は体の健康のためにも抜歯を検討する必要が出てきます。

歯周外科治療について

歯を触った場合にグラグラと動くほど歯槽骨が溶けているのが重度歯周病です。何も対策をしないと、自然に歯が抜け落ちることもあります。また、他の歯の健康を守るため抜歯をしなければならない症例も存在します。抜歯が必要なほどの重度歯周病は、以前の治療技術だと対応が難しい状況でした。しかし現代の医療技術だと、歯周病外科治療によって抜歯を避けられる可能性が見えてきました。

歯周ポケット掻爬術(SRP)

主に歯周ポケットの深さが4mm程度。つまり初期段階の歯周病に対して行われる歯周外科治療です。歯茎に局部麻酔を行い、歯根の表面にこびりついた汚れや歯周ポケット内の感染組織を取り除きます。細菌の少ない状況に環境を整えることで、歯根面に歯茎が再び密着し、汚れが蓄積するのを防ぐ効果が期待できます。

フラップ手術

フラップ手術は局所麻酔後に、歯茎を切り開き、歯周病の原因となる細菌や歯石を完全に除去する手術法です。歯根の先まで直接見える状態にして汚れを取り除くので、通常の歯周基本治療では対応できない部分まで綺麗にすることができます。ただし、フラップ手術は歯ぐきが下がってしまうリスクもあるため、十分なカウンセリングを行った上で治療を行います。

歯周組織再生療法(リグロス)

歯周組織再生療法は、重度歯周病のケースで行われる治療法です。具体的には歯を支える歯槽骨がすでに溶けてしまった症例などにおいて効果を発揮します。歯周組織再生療法はフラップ手術で汚れを完全に取り除いた後、リグロスという薬剤を歯根の表面に塗布します。リグロスは、細胞を活性化させる成長因子が含まれているのが特徴です。細菌の少ない環境下で用いれば、ゆっくりと歯周組織が再生する効果が見込めます。

新付着手術(ENAP)

歯周ポケット掻爬術の治療が終わっても効果が見られない、もしくは歯周ポケットが4~6mm残っていて、炎症が歯槽骨に達していない場合に行われる歯周外科治療です。 歯周ポケットの内壁を切除し、根面を綺麗にクリーニングしてから歯周組織を縫合するのが一般的な流れです。歯と歯ぐきが自然に接着するのをサポートします。一般的には前歯部に用いられることが多い治療法です。

歯周病と全身疾患との関わり

歯周病の悪影響は口腔内の問題だけに留まりません。歯周病を引き起こすプラークは細菌の集合体で、その除去が適切に行われないと細菌が増殖します。そして、これらの細菌が生成する毒素が血管を通じて全身に広がり、多様な疾患を引き起こすことが知られています。
つまり歯周病治療を行えば、全身の健康トラブルを回避したり、予防したりする効果が期待できるのです。

合併症

歯周病と関連する全身疾患は、明らかになっているだけでも動脈硬化、糖尿病、低体重出生、早産、誤嚥性肺炎など多岐に及びます。また最近では認知症との関連性も指摘されています。これらの疾患は歯周病が進行すればするほど、症状が重くなったり、発症リスクが高まったりします。

歯周病を防ぐためには

歯周病を予防するためには口腔ケアももちろん重要ですが、健康的な食事を心がけて、過度な喫煙と飲酒を避けることも欠かせません。これらの対策は、歯周病だけでなく生活習慣病の予防にもつながります。歯周病の予防は全身の健康維持にも結びつくので、ぜひ日々の口腔ケアと定期的なデンタルケアを続けましょう。

予防・メインテナンス

予防・メインテナンスの重要性

多くの方は「歯が痛むから歯医者へ行く」と考えているでしょう。予防・メインテナンスとは、歯が痛む前、つまり口腔内が健康なうちに「むし歯や歯周病を未然に防ぐための処置」を目的として行っています。
毎日食事をする私たちは、自宅でのセルフケアはもちろん、歯科医院で行うプロフェッショナルケアを並行して行うことで、むし歯や歯周病を予防することが重要なのです。

当院で行う予防・メインテナンス

  • ブラッシング指導

    ブラッシング指導では、患者様の歯並びや磨き方のクセに合わせて、磨き残しを防ぐための歯磨きの仕方をアドバイスいたします。当院の歯科衛生士が丁寧にレクチャーしますのでご安心ください。

  • PMTC

    専用の研磨剤と機器を使用し、歯に付着した汚れや細菌の塊を徹底的に取り除く処置です。歯科医師や歯科衛生士が治療を担当するので、セルフケアでは対応できない汚れを除去できます。治療後は歯の表面がツルツルになり、細菌も付着しにくい状態を維持できます。

  • スケーリング

    専用器具のスケーラーを使用し、超音波の振動を利用しながら、歯の表面や裏面、歯と歯の間に付着した歯石を丁寧に取り除く処置です。歯や歯ぐきにダメージを与える心配はほとんどありませんので、ご安心ください。

定期検診を受けましょう!

毎日のご自宅での歯磨きなどのお口のケアと合わせて、
定期的に検診を受けトラブルのない健康な口腔内を目指しましょう。